作曲のレッスンとは何をするのでしょうか? 音大で作曲を学び、今も音大で教えている経験から感じることを書いてみます。
作曲といってもいろいろなやり方があります。
レッスンをやる上で分かりやすいのは、作りたい曲のスタイルが定まっている場合です。
例えばラヴェルみたいなスタイルで作りたいとか、1990年代Jポップ風のバラードを作りたいとか。その場合は目標とする曲が存在するので、レッスンでは作った曲と目標との違いを指摘していけば良いわけです。
では目指すスタイルが決まっていない場合はどうしたら良いでしょうか? 創作とは自由だし正解もないので、モーツァルトみたいな音づかいの中でいきなり全然違う不協和な音が混じってきても否定することはできません。
それでも、過去の技術や作品の例を伝えることは出来ます。作って持ってきた作品に関連がありそうな技法や作例を紹介することで、何かのヒントになるかもしれません。
創作は自由です。音を選ぶ根拠は自分の中に見つけるべきだと思います。 しかし、その根拠になる自分というものは簡単に変わります。そして変わるのは悪いことではないです。ある音楽のスタイルを学習すると、自分自身のセンスがそのスタイルに近づきます。そうすると、自分の好きなように曲を作ってもそのスタイルの世界で認められやすいものになります。
また、作った本人も気づいていないような作品の魅力を伝えることもできるかもしれません。作品作りというのは楽しさもありますが、苦しい時もたくさんあります。そんな中で自分の作品の魅力を知ることは、作品を作るエネルギーを生み出す助けになると思います。